新しいガン治療:ICG-Lipoを用いた光免疫誘導治療

ICG-Lipoはインドシアニングリーン(ICG)の基本骨格にアルキル鎖またはリン脂質を修飾したICG誘導体を脂質二重膜に組み込んだリポソーム製剤です。

これを利用した新しい治療を鳥取大学の農学部獣医学科の岡本芳晴先生と千葉大学大学院医学研究院の田村裕先生の研究グループが発案しました。

ICG-Lipoの大きな特徴として特定の波長の光を吸収して熱と一重項酸素を発生させる特性とEPR効果※を利用して腫瘍組織に蓄積していく特性を持ち合わせています。

※腫瘍血管の血管内皮細胞は正常組織の血管 内皮細胞に比べてその整列が不均一であることが知 られている。そのため、正常血管内皮細胞間隙から は漏出しない粒子(20-200nm)でも血管外に漏出 する。その結果、腫瘍組織内に粒子が蓄積していく(下図参照)

ICG-Lipoはマウスを用いた研究でも静脈投与後に腫瘍に蓄積していくことが確認されています(右図)。

静脈投与後、腫瘍にICG-Lipoが蓄積した状態で光照射を行うことで腫瘍組織を発熱させます。腫瘍組織はICG-Lipoから生成する熱と一重項酸素により損傷するとともに細胞性免疫が誘導され、腫瘍組織が死滅していきます。

これを繰り返すことで腫瘍を縮小させるのがICG-Lipoを用いた光免疫誘導治療です。

実際の手順としては1~2時間かけてICG-Lipoを静脈内投与し、特殊な機械を使用して光照射を行っていきます。光照射は一回が20分程度で、可能であれば毎日照射を行います。3週間を1クールとして治療効果の判定をします。

実際に使用する機械:スーパーライザーmini (東京医研株式会社

半導体レーザー(飛鳥メディカル株式会社)

腫瘍の種類など適応についてはまだ明確な決まりはありません。一般的には適応禁忌の症例はありませんが、外科的な摘出が困難な症例、麻酔リスクが高く手術に危険が伴う症例、既知の治療で効果が認められない症例などに実施しています。

この治療の特徴は副作用が少ないことです。ごくまれに、ICG-Lipoの点滴直後にアナフィラキシー様の症状(かゆみ、嘔吐、震え等)を起こす症例もいますが、一過性のもので症状が続くことはほとんどありません。光照射は腫瘍の場所にもよりますが、高齢の子や心臓病や腎臓病など何か持病を持っている子でも負担なく実施することができます。

まだまだどんな腫瘍にどれだけ効果があるか研究中の治療ではありますが、これまでのデータの蓄積で一定の成果をあげています。ガンと診断されたが治療が難しかったり、負担が大きく治療に耐えられないような症例でお困りの方は是非一度ご相談ください。

資料提供:鳥取大学農学部獣医学科 岡本芳晴先生、千葉大学大学院医学研究院 田村裕先生

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