しかし、去勢手術や避妊手術といった一般的な手術は全身麻酔が必要なものがほとんどです。では実際に全身麻酔のリスクはどのくらいあるのでしょうか。
1950年代の研究報告では麻酔に関連した死亡例は犬で1.08%、猫で1.79%、1990年代では犬で0.43%、猫で0.35%、2000年代に入ると犬で0.17%、猫で0.24%です。
人の医療と比較するとまだまだ改善の余地はありますが、獣医療の発展に伴い死亡率は大きく改善してきています。
その中でも特に重要なのは麻酔前のリスクの評価と術後の管理です。健康な子の麻酔関連死亡率は0.05%なのに対して、病気を持っている子の麻酔関連死亡率は1.33%とおよそ26倍になります。麻酔前に各種検査を実施することで隠れている病気を発見し、病気の子に対してはその子に合った麻酔薬を使用することでリスクを軽減することができます。また、麻酔関連死のタイミングは麻酔中よりも麻酔後の方が多いです。特に術後3時間までが麻酔関連死のリスクが高いため必要に応じて酸素室に入れたり、昇圧剤を流したりする必要があります。当院ではどんなに元気な子でも麻酔後3時間はお預かりさせていただいています。