最後にお耳のケアについてお話しします。
正常な耳は自浄作用があるため、耳垢は自然に排出されます。トラブルのない耳に対しては積極的な洗浄は必要ありません。耳垢が全くないことはまれなので正常な耳垢を無理に洗浄しようとすると却って外耳炎の原因になってしまいます。
耳道の洗浄が必要なケースは①異物や寄生虫が存在②外耳炎が頻発する③脂漏症に伴う過剰な汚れ④先天的な耳道狭窄に伴う耳垢の排出不良などです。
うちの子は洗浄が必要なの?と悩まれる方は獣医師にご相談下さい。
耳の洗浄法ですが、イヤークリーナーによるマッサージ法が一般的です。綿棒を積極的に使用すると耳垢を奥に押し込んでしまう事があるので、耳介部の目に見える部分にのみ使用しましょう。洗浄剤は間違っても水道水やシャンプーは使わないようにしましょう。却って刺激になってしまい外耳炎を発症してしまう事があります。動物病院やペットショップで販売しているイヤークリーナーを使用するようにして下さい。イヤークリーナーの種類は耳の状態によって推奨が変わりますので獣医師やスタッフに聞いてみると良いでしょう。洗浄剤を外耳に満たしたら上皮移動に逆らわないように水平耳道から垂直耳道方向にやさしくマッサージをしてあげて下さい。この時に耳を強く引っ張りすぎたり、必要以上に強くマッサージしすぎたりしないように注意して下さい。
よく質問されるのが耳毛についてです。耳毛は外部から異物、微生物、アレルゲンが侵入しないようにしています。基本的に健康な耳では耳毛を抜く必要はありません。上述したような耳毛が過剰な犬種(トイ・プードルやシュナウザー)や耳にトラブルがあり、耳毛に汚れが付いてしまったり、耳毛のせいで耳道内がジメジメしてしまったりするようであれば抜くこともありますが、お家では基本的には抜く必要はないでしょう。
以上がお耳のお話でした。お耳のトラブルは皮膚のトラブルと併せて診察件数がとても多いです。そのままにしておくと慢性化して治療が困難になることもあります。お耳の匂いがいつもと違ったり、痒がる仕草をしたりするようであれば外耳炎の症状かもしれません。その際には早めに獣医師にご相談下さい。