それでは成犬・成猫のワクチンはその後はどのくらいの頻度で打てばよいでしょうか。1年に1回打つのが当たり前になっている風潮はありますが、実は必ずしもそうではありません。
そもそもワクチンは100%安全なものではありません。接種後に顔が腫れたり、嘔吐や下痢などを起こしたり、接種部位にしこりができたり、数は少ないですがアナフィラキシーショックを起こして亡くなってしまうケースもあります。海外ではそういったワクチンによる有害事象を鑑みて、ワクチンの接種回数を減らす動きがあります。
海外では子犬の時にしっかりとワクチンプログラムを受けているワンちゃんではコアワクチンの免疫持続期間(効果のある期間)は3年以上持続する個体が多いため、追加接種は3年に一回、それ以下の頻度では接種しないことが推奨されています。日本で発売されているワクチンは免疫持続期間に対する記載が無いものが多いため一般的には1年に一回の接種とされていますが、実際に抗体価検査をしてみるとワクチンの効果が2年、3年持続している子もいます。このため、当院では成犬では1年に一回の抗体価検査を推奨しています。コアワクチンに対する免疫が持続している(一定以上の抗体価がある)場合はワクチンの接種はせず、1年後に再度抗体価検査を実施するようにしています。
一方ノンコアワクチンの免疫持続期間は1年とされています。残念ながら、日本ではコアワクチンとノンコアワクチンが混合されているワクチンがほとんどですので、ノンコアワクチンを接種する場合にはコアワクチンも一緒に接種することになります。こういった理由から1年に一回ワクチンを接種する方が多いのが現状です。
猫ちゃんの場合はどうでしょうか。
こちらは海外でも生活環境で大きく変わるようです。子猫の時にしっかりとワクチンプログラムを実施しているのが前提ですが、完全に室内飼育で1匹で飼育されている猫ちゃんは3年以上間隔をあけての再接種が推奨されています。
一方室内と室外を行き来したり、多頭飼育をしていたり、ペットホテル等を利用する猫ちゃんは日本同様に1年に1回のワクチン接種が推奨されています。